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リスボンの恋人について

作家・鴻鴻(HungHung)

32歳のGogoは正直な男:僕のタイプの女性はソウルフルなセクシーな美女。

25歳のMomoは自信がない美女。:私には魂がないの。私の魂は犬に食べられてしまったの。それに私は美人じゃない。

 私のパソコンの中には「工事中」というフォルダがある。それはまだ展開させてないものや、未完成のプロジェクトが入っている。『リスボンの恋人』もその中に入っていた。二人のキャラクターが織りなす、ラブコメディーの予定で、ドキュメントフィルムとして撮影する。自分が主演も務めようと思っていた。これはこの小説の前哨戦的なプロローグに当たる部分で、本編はリスボンに辿りつたところから展開するつもりだった。でもこれ自体も短編小説として出来上がってはいた。

 この物語はこのフォルダの中でもう10年以上もスタンバイしていた。きっともう世の中に姿を現すことはないのだろうと思っていたのだが、E-RUNから過去に書いた戯曲が読みたいと言われて、なぜだかわからないけど、この短編もその中に入れた。コロナが世界に猛攻をふるっている時に、この作品が再生の機会を得る、それも国境を越えてのアーティストたちのFireflowerが咲くなんて思ってもみなかった。それはまるでこの二人の悲惨なキャラクター達が、曲がりくねった人生という道で、意外にも愛の花を咲かせたのと同じようだ。そしてこの物語が不条理な運命に弄ばれている人達に勇気を与えてくれることを願っている。

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